北校舎の非常階段に向かう途中だった。

派手なミルクティーカラーの頭があたしの目に止まる。


距離を詰めると肉眼ではっきりとわかった。

ひなたが女と一緒にいる。

二人きり。
あの感じだと告白に違いない。


『その告白、ちょっと待ったぁ!!』

なんてヅカヅカ行ける雰囲気じゃない。


あたしはこそこそと近づくと二人の背後に回って身を潜めた。

二人の姿は見えないが声は聞こえる。


違う意味でドキドキする。

そうして縮こまりながら二人の会話に耳を澄ませた。




「それで……夢前くんのことずっと気になってて」


聞こえた女の声にあたしはギュッと手を握る。

やっぱ告白かよ。




「……好き。付き合って欲しいの」


くっそ、言いやがったあの女!

ひなたは?
何て答えるつもりだよ!?


手に汗握りながらひなたの答えに耳を傾けた。





「やだ……面倒臭い」



あまりのバッサリっぷりに耳を疑う。

やだって……


面倒臭いって……。


お前、子供か!?




「……そっか……なんかゴメン……」


女の声が震えて聞こえると立ち去る足音が続けて聞こえた。

聞いたらいけないものを聞いてしまった複雑な気分だ。