8時を回ったころ、ようやくお姉ちゃんは帰ってきた。

あたしは犬の姿のひなたを抱き上げリビングから玄関まで向かった。


「お姉ちゃんお帰り。犬飼いたいんだけど……」

「犬?」

気怠そうにパンプスを脱いでお姉ちゃんはちらりとひなたを見た。

ひなたはあたしに抱かれながらパタパタ尻尾を振ってアピールしている。


「かわいいー……」


近寄りひなたを撫でたお姉ちゃんにあたしは一瞬期待した。
でも流石、冷めた女だ。


「けど面倒はみないわよ」

あたしの期待はバッサリと切り捨てられた。

やっぱりな。


さほど興味もないのかお姉ちゃんはひなたをひと撫でしてリビングに消えていった。


「ミリちゃんのお姉ちゃん綺麗なひとだね」

「……喋んな」

「ワン!」


てか
やっぱりあたしがひなたの面倒全部みるんだな……


犬として普通に飼えばいいのよね

犬なんだし。

ただの犬じゃないけど。