ひなたに会わないまま放課後を迎えた。

同じ学校なのに学年、クラスが違うとなかなか会わない。

自分から3年の教室に行かないとひなたを目にすることすらないのかも知れない。


つーか何であいつ学年1コ上なんだよ……。

そこはあたしとタメでいいだろーが。



ひなたに会えないことにモヤモヤする。
会ったところでどうしようもないのに。


ホームルーム後、しばらく教室でレミとユリとだべっているとレミが時計を見て尋ねた。


「ミリ、そろそろバス停並ぶ?」

「うーん……」


気のない返事をすると今度はユリが尋ねた。


「ミリ、聞きたかったことがあるんだけど……聞いてもいい?」

「何?気になるから言って?」

「あたし夢前先輩を見たことないんだけど……。太陽くんって夢前って先輩なの?」

「えっ……」


一瞬、何のことかわからなかった。

太陽くんとはユリの前でひなたが口にした偽名だ。


「ミサキちゃんの話、聞いた時からずーっと気になってたんだけど……。夢前ひなたって名前、ミリの家のワンちゃんの名前もひなただよね?」

「えーっと……」


あたしが答えに困っているとユリは核心を突いてきた。