「ミリ……大丈夫?」


頭をポンと叩かれて顔を上げるとユリが心配そうに覗き込んでいた。

見渡すと教室にはあたしとユリの二人だけ。


机に顔を伏せていつの間にか寝てしまい、放課後になっていた。


「あー……寝てた。レミは帰っちゃった?」

「ミサキと3年の教室行った。転入生見に……」

「ふーん。ユリは行かないの?」

「男に興味ないから」

「そっか……」


一瞬、変な間があく。


ユリはやっぱり女の子の方が好きなのだろう。
女のあたしを好きだったくらいだし。



あたしが気まずく感じていると静かな教室にバタバタと走る足音が近づいてきた。



「ミリ!!ちょっと来て!!」


レミが勢いよく教室に入って来るなりあたしを立たせて引っ張った。


「何?どした?」

「いいから!!」


あたしは訳もわからないままレミに引っ張られて教室を後にした。

レミはそのまま3年の教室がある4階の階段を駆け上がった。


「レミ、何!?」

「あんたアレ!」



4階に上がるとレミはミサキの待つ教室の前で立ち止まり指をさした。


レミの指先に目を向けた瞬間、あたしは自分の目を疑った。


息が止まるかと思った。