6月中旬……梅雨の真っ只中で空気がムシムシする季節。

あれから1ヶ月過ぎてあたしは毎日の生活に追われていた。

相変わらずあたしの部屋にひなたはいない。


学校が終わるといつものようにレミと一緒にバスで家に帰る。

ひなたが消えた小さな公園を通りかかると、居るはずのないひなたをいつも目で捜してしまう。


もうあたしの日課だな。

通るたびに公園を眺めるんだもん……。



この日、あたしは公園に足を踏み入れた。

公園はあの日と違って、入り口近くに自転車を止めた小学生が遊具の前にたむろしている。

こうしてしみじみと公園を眺めるとまだ胸が痛くて涙腺がヤバイ。


そうして会いたくて堪らなくなる。


「お願いだから戻って来てよ……バカ犬」



ひなたがいた場所で小さく呟くと胸が苦しくて鼻がツンとした。



『好きって痛いんだね』


そう言っていたひなたの声を思い出した。


「……痛いよひなた……」


落ちていく雫がみるみる地面を濡らしていく。

しばらくして雨が降り始め、公園から子供たちが散って行った。


涙を隠すのにちょうどいい。