とりあえず服を着せないと目のやり場に困る。

ジャージのセットアップなら女物でも違和感ないだろう。

パンツ履かないまま着られるのは癪だけど……流石にパンツは貸せない。

あたしのパンツを履かれてもキモい。

ベッドの上で着替えながら彼は唐突にあたしを呼んだ。


「ねーミリちゃん。俺に名前つけてよ」

「名前?」

振り返ると服を着た彼が胡座をかいてこっちを見ていた。


「俺、ミリちゃんの犬だもん。だから。飼い主が名前つけるでしょ?」


綺麗な瞳にじっと見られる。

くっそ……可愛い

あたしは照れ隠しに適当なことを言った。


「ポチ」

「うわー安易だね。ネーミングセンスゼロ?引いちゃったし」


コイツ腹立つ!


「考えるわよ!」

しばらくあたしは真面目に考えていた。

犬につける名前……

シロ……クロ?

……ジョン?


なかなか決められないあたしをよそに彼はベッドでくつろぎ始めた。


「いーよポチで。ミリちゃんがそう呼んでくれるなら」

「……ひなた」

「ん?」

「犬って感じじゃないけど……ひなたでどう?」


数秒の沈黙。

彼はニッと笑った。


「うん!」



犬……だよな

人になるけど基本は……。