ひなたの柔らかい髪が指に絡む。

何だか懐かしい感覚に意識が囚われそうになる。

あたしはそれを振り払うように両手でひなたの頭を持って振った。


「ミリちゃん痛いって!」

「ヨシヨシしてあげてるんでしょ?ほら」

「痛いーやめて」

「はい。じゃあ次、抱っこしたげる。おいでひなた」

「何!?ミリちゃんどうしたの?」


驚くひなたを無理矢理引き寄せてギュッと抱き着いた。


「どうしたの?ミリちゃん発情?」

「……アホか」



何だろ。
この胸が詰まる感じ……。

あたしは何も言えないままひなたをギュッと抱きしめた。


何だろう。
この懐かしい感覚……。

胸が痛い。



長い沈黙の中、ひなたはあたしをしっかり抱き留めてから口を開いた。


「ごめんね。あの時ミリちゃんを抱きしめてあげれなくて……。ごめんね……ミリちゃんの役に立てなくて……」



ひなたの声があんまりにも痛々しくて顔を上げてひなたをのぞき見た。




「……あんた泣いてんの?」



驚いて体を離すとひなたは悲しそうに笑って「わかんない」と口にした。