ひなたはジャーキーを食べ終わると手をはたいてあたしに差し出した。


「ミリちゃん、はい。繋いでね?」

「……いつも思うんだけど必要ないじゃん」

「飼い主はちゃんとペットを管理しなきゃー。俺が走ってどっか行ったらどーすんの?」

「子供か」


それからあたし達は手を繋いで帰った。


飼い主と犬。


ひなたは犬。

リードの代わりに手を繋ぐ。

当たり前のようにそうするけど手を繋ぐ一瞬、あたしはいつもドキドキする。

アホ犬なのに。



犬なんだよな……。



「ねぇ、ひなた……」

「ん?」

「……何でもない」


あの時、あたしの口から出かけた言葉。




『ひなたは人間として生きていけないの?』


あたしは何を期待しているんだろう。
人間の姿のひなたに何を望んでいるんだろう。