携帯を耳にあてたままあたしはフリーズしていた。


「ミリ？どした？帰んぞ」

覗き込むあっちゃんにあたしは思わず愛想笑いをする。

ひなたが学校に来たらえらいことになる。

クラスまで聞くということは教室まで来る気だ。

ヤバイ……
とりあえず教室を出よう。


「よし！帰ろう！」


勢いよく教室のドアを出た時だった。


「あ！ミリちゃーんハッケーン」



廊下の向こうから前髪をちょんまげにし着崩したジャージにカーディガン姿の男がジャーキーの袋を片手に食いながらヘラヘラ笑い歩いてきた。

――ひなただ。


何でだよ！
はえーだろ！？

つーか何だその格好！？


「ミリちゃー

「何来てんの！食うな！ジャーキー仕舞えよ！？」

「散歩がてらお迎え。オヤツ持参なのね」

「なのね、じゃねーよ。だから食うな！」


ハッとして振り返ると不機嫌そうな顔をしたあっちゃんとポカンとした顔のレミが突っ立つていた。



アホ犬……。

とりあえずジャーキーを仕舞え。