あっちゃんの唐突な行動にあたしはポカンとしたまま身動きがとれなかった。


「勘違いって!よかったー。てかお前、俺を信じとけよ!?」

「……は?」

「俺、お前に嫌われたわけじゃないんだな……それで別れるって言ったんだな」

「いや……あの」


急にテンションが変わったあっちゃんに少し胸が痛む。

この反応じゃ『別れる』ってことがなかったことになりそうだ。

あたしはあっちゃんをゆっくり引き離し息を飲む。


「あのさ、あっちゃんユリのことだけど……男だったって……」

「アイツから話聞いたのか?俺も聞いた時ビビった」

「いつからユリのこと知ってたの?」

「お前が男にホテルに連れ込まれたってユリから聞いて……助けにいったらお前いなくて……」

「そこで聞いたの?」

「ああ、男だって聞かされてミリが好きだって……。俺わけわかんなくてさ。そしたら次の日、お前がメールも電話もシカトして別れようって言うからマジわけわかんなかった……」

「ごめん……誤解してた」

「誤解が解けたんならそれでいいよ。俺、お前好きだし」


照れ臭そうに笑ったあっちゃんを見てあたしは胸がズキズキした。

別れるなんて言えない。