あっちゃんは何も悪くなかった。

でも今更あっちゃんと縒りを戻す気はない。

そんなあたしは酷いのかもしれない。

ユリとも学校でどんな顔して会えばいいのかわからない。


犬のひなたを撫でて気を紛らわす。
ひなたはおとなしくお腹を向けて服従のポーズをとる。


「……ねぇひなた。あたしどうしたらいい?」


ぽつりと出た弱音に自分でもビックリした。

ひなたはぴょんと起き上がるとつぶらな瞳であたしを見上げた。


「ミリちゃんはどうしたいの?」

「どうって……」

「ミリちゃんは優しいね。相手を傷付けたくないからどうしようか悩んでるんでしょ?」

「いや……そんなんじゃ」

「でも自分の気持ちに正直に生きてほしいなー。自分に嘘ついて傷付くミリちゃんは俺が見たくないもん」

「何それ……」

「どうしたらスッキリするか。1番わかってるのはミリちゃん自身でしょ」

「まあね……。言うじゃねーか犬」

「俺、ミリちゃんが頼ってくれて嬉しいよ?ミリちゃんの役に立てたら幸せ〜」


ひなたは嬉しそうにしっぽを振って潤んだ瞳をあたしに向けた。

ホント可愛い奴……。


あたしはひなたを抱え上げるとギュッと抱きしめた。