夢？

これは何？夢？


状況が飲み込めず混乱したあたしは慌てて目を閉じ聞き耳をたてた。



「離してくれないかなぁ〜？敦くんって女の子に手あげるんだ〜。アハハ最低」


ユリのあっちゃんを馬鹿にしたような物言いにあたしは耳を疑った。
そしてそれに対するあっちゃんの物言いにも……。



「ふざけんな！気持ち悪いんだよテメェ！ミリに近づくんじゃねーよ……」

「傷付くこと言わないでくれるかなぁ？気持ち悪いのはあんたもだよ。何、あんたミリのストーカー？」

「テメェ調子のってんじゃねーぞ！？カマ野郎が！」


――！？


あたしは再び耳を疑った。

は！
カマ野郎って何！？

何それ知らない！！


つーかひなた止めろよ！？

さっきまで二人を仲裁していたひなたの声が聞こえない。

どんな状況か確認すべく目を開けようか迷っている時だった。

唇に何かが軽く触れて離れた。


「ちょ…お前、何してんだよ！？」

「何って目覚めのチューだけど？お姫様を起こすやつ」


間近で聞こえたひなたの声にあたしは血の気が引いた。

コイツが一番ふざけてんじゃねーか！