冷たい表情がやけに綺麗だった……。


初めて見せたひなたの顔にあたしは動揺していた。

と言うより恐さに似たようなものを感じていた。



「……彼氏ってあれは……」

言葉に詰まりひなたから目を逸らす。
あっちゃんの前、口にした『彼氏』って言葉だった。


「俺を利用したんでしょ。あの男の手前」


見透かされていたことと冷たく言い放たれたことにチクリと胸が痛んだ。


こいつアホなんかじゃない……

全部わかってる。





何も言えずに口の中が乾いていく。

あたしはひなたに威圧されるようにゆっくりとベッドに背中をつけた。

そのままひなたに冷たく見下ろされあたしは蛇に睨まれた蛙みたく動けなくなった。