土曜日

佐藤はこの前と同じカローラスパシオに乗ってきた。未來は少し緊張していた。

車に乗るとすぐに、


『ネガを返して。』

未來は強く言ったが、佐藤は動こうとしない。


『ネガを返して。』

もう一度強く言った。
佐藤はゴソゴソと鞄を探し、ネガを取り出し、手渡した。


違う!!未來は思った。

モデルのバイトで使用したのは、業務用のネガだったので、すぐに違いがわかったのだった。


『これ、私のネガじゃない!!私のは業務用なの。返して!!』

『じゃあ、家で間違えてきたんだ。今度返すからさ、、今日は一緒に遊びに行こう。』

『嫌っ!!家まで取りに行く!!』

すると、佐藤は荒々しい声で、

『今日は遊びに行くの。わかれよ!!道子ママに言うぞ。』

道子ママ!?そう、その名はずばり、未來の母の名前だった。

もう逃げられない。


この人は私のことを調べている。


未來はうなだれた。

何かを諦めたのだ。


佐藤は未來を一瞥し、車を走らせた。