休日にあんなことがあっても、未來は明るく働いていた。


『おはようございます。』

『お大事にしてくださいね。』


未來の勤める診療所は、こじんまりとしていて、医院長と看護師が1人、事務員が2人だった。


患者も、いつも同じ顔ぶれが揃っている。

未來は団体行動が苦手で、先に述べたように虐めにあったので、歳の近い人やきつい人が苦手だったので、ここの職場は天職とも言える職場だったのだ。


未來は家まで自転車で帰宅していた。


未來の家はマンションで家族は父、母、妹がいた。


妹はまだ高校生で、母はパートに行っている。


肝心の父親は数年前脳梗塞になり、一命は取り留めたものの、社会復帰が出来ないでいた。


未來にはそうした、家族環境もストレスだった。


大黒柱は実質未來だったのだ。


しかも、未來の父親は、昔からすぐキレるタイプの人で、頭ごなしに母に当たっていた。


そんな父に、未來は何も話さなかった。


未來は仕事に行って、家に帰ると居場所がなかったのである。



佐藤との約束は土曜の昼過ぎからだった。