『俺せっかく、未来ちゃんのこと諦めようとしてたんだから、、、未来ちゃん、責任取ってよ。』


佐藤は嬉しそうな声でこう言った。

１月に入っていた。
未来は誕生日を迎え二十歳になっていた。

佐藤は時間が作れないとの理由から、成人式の日に待ち合わせした。家が貧乏だった未来は振り袖を着る予定もないので、それを了承した。


月曜日、上野芝駅。


佐藤と未来は待ち合わせした時間通りに２人は会った。

車から出てきた佐藤は、花束を持っている。


オレンジの花束だった。


『未来ちゃん、赤やピンクの薔薇はどこにでもあるけど、俺はオレンジの薔薇は特別な人に贈ってるんだ。これを君に、成人おめでとう。』


佐藤は本当に時間が無いようで、慌てて帰って行った。


未来はその帰り道、初めて男の人に花束を貰って凄く幸せだった。成人式は出られなかったが、いい成人式を迎えられたと思った。


次の土曜も佐藤は未来と約束した。