「どうして先輩はっ、あたしを突き離そうとするんですか……!?」
問い詰めても何も言わない高遠先輩の体を、軽く揺さぶってさらに言葉を続けるけど、相変わらず口をつぐんだままで。
さらには顔まで背けられてしまう。
「っ……どうして……どうしてですか……っ、どうして先輩は、あたしを傷付けようとするんですかぁ……っ!!」
堪えきれなくなった涙も拭う事なく、必死で問いかけ続けたのに……肩にそっと添えられた腕に、全てを崩された。
『……君が何度、何を言っても、俺はもう決めたんだ』
「っ、勝手に、決めないで下さい……!! あたしはっ、傷付く事なんて平気、だからっ……お願いです、教えて下さ……」
『俺は、君を大切にしたいんだ……! だから言わないし、……大切にしたいからこそ、離れないとだめなんだ……っ』
両肩に添えられていた手に力が加わり、やっとあたしを真っ直ぐに見つめてくれた高遠先輩は、……やっぱりあたしを、突き離そうとするんですね……。
「大切にしたいと、思って、くれてるならっ……どうして、離れるんですか……?」
高遠先輩の中には、一緒に居続けるという選択肢はないんですか……?
『……そもそも、俺が間違っていたんだ、始めから……』
そう言うと高遠先輩は、またあたしから顔を反らした。
それにあたしが反論しようと口を開きかけた時、小さく、本当に小さく……残酷な言葉を漏らした。
『――本当は……俺は君を、……傷付けるつもりで近付いたんだ……』
「……え……?」
唐突すぎて、その言葉を理解する事が出来なかった。