『やっぱり俺は君を傷付けてばかりだ……、今だって少なからず傷付けているだろう?』

あたしの想いを知りながら、受け入れてくれない。

自分の想いさえも封じて、あたしを傷付けないようにしたいがために離れる事で、またあたしを傷付ける……。

たしかにそうやって、貴方はあたしを傷付けてばかりだけど。

「いいんですっ、あたしは傍にいてくれるだけで充分なんです……っ」

『でも、そうやって傍にいたって俺の気持ちが中途半端なままだと、君は傷付くだろう!?』

「っ、そうやって離れられてしまう方が、傷付きますよ……!!」

どうしてわかってくれないの……?

こんなに貴方を想って待っていたのに……それでもまだ待たせるんですか?

あたしをまた、突き離すんですか……!?

「もうっ、耐えられないんです……!」

貴方が傍にいてくれないと、不安に押し潰されそうになる。

待つ事ばかりじゃ、何も始まらないのに……どうして貴方は、あたしを受け入れてくれないの……?

あたしは貴方に、何も望まないから。

……我が儘は言わないから、あたしを受け入れてよ……!!

「こんなのっ、ただ、先輩の意思が……弱いだけじゃないですかっ……!」

拳を振り上げ、高遠先輩の胸を叩く度に、瞳に熱いものが込み上げてくる。

何も言わずにただ叩かれるがままの高遠先輩に、哀しくなって……顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら休む事なく拳をあて続ける。

……本当は初めから、あたしを受け入れる気なんてなかったのかな?

もしかしてあたしは、ただいいように弄ばれているだけ……?

もしそうなら、許せない、いくら高遠先輩でも許せないのに……。

「傍に、いて下さっ……、もう、待てません……っ」

心は正直で、自分の想いに忠実に口を動かしていた。