あたしの肩をギュッと掴みながら落胆するように頭を下げる高遠先輩は、今にも膝から崩れ落ちそう……。
触れられた肩から、震えが伝わってくる。
『でも、そんな事したって虚しいだけで、……おまけに君が傷付いたと知ったら、怖くなったんだ……』
あたしの胸の辺りまで頭を下げると、そのまま後頭部をあてられたから……あたしは包み込むように、高遠先輩の腰の辺りに手を回した。
『……だから那智、もう俺とは関わらないで』
「……え、……っ……!?」
そう言うとすぐに顔を上げた高遠先輩は、あたしから顔を背けて一度瞳を袖口で拭った。
『これ以上君を傷付ける前に、綺麗に別れよう』
少し赤い瞳で笑う高遠先輩は、あたしの言葉を待たずに突然背を向けて歩き出す。
「ちょっ……待って下さい、何でですか……!!」
すぐに追いかけると、足を止めて振り返った高遠先輩の表情に……あたしは言葉を失った。
どうして、そんな無理して笑うの……?
そんな風に笑われると、別れを惜しんでいるように見えてしまう。
本当は離れたくないと、そう心が叫んでいるように見えてしまう……っ
「っ……ごめんなさい、ごめ、ん……なさい……っ」
『な……、那智、なんで君が謝……』
「す、きに、なって……っ、嫌いになれなくてっ、ごめんなさい……っ……!!」
高遠先輩を哀しませるのは、あたしのせい……。
あたしが好きになってしまったから。
何度も何度も好きだと伝えてしまったから。
それが高遠先輩を追い込んだのなら、あたしが悪いんだからっ……!