翌日から、窓越しに
カオリの姿を見かける事は
ありませんでした。
それどころか、天気が
良いと必ず窓が開いていた、
カオリの部屋でしたが、
その窓は閉められたままでした。
カオリは、あの紙ヒコーキの
別れを最後に、
アパートを出て行って
しまったのです。
 また、タケシの
孤独な引きこもり生活が
始まってしまいました。
しかし、頭の中は、
カオリの事でいっぱいです。

“なんで、アパートまで
出て行ってしまったんだ?
好きになりそうって
言うのは本当なのか”

悩みに悩んだ結果、
ついにタケシは立ち上がりました。
 カオリのいたアパートの前には、
入居者募集の看板が立っており、
不動産会社の名前と
電話番号が書いてあります。
そこを頼りにカオリの
足取りが掴めないかと、
考えたのです。
不動産会社に電話をすると、
タケシにとって驚くべき
事実が判明しました、
あのカオリのいた部屋には、
カオリの名前ではなく、
タケシの父の名前、
伊藤コウイチの名前で
入居契約していたのです。

「なんで、父さんが…。」

タケシは、訳が分からず、
ただ困惑するしかありませんでした。