次第に、タケシの方が、
メールを送る回数が
減っていきました。

“最近タケシ君、
あんまりメール返してくれないね、
ごめんね、私が悪いんだよね、
でも、これ以上前に踏み出す
勇気がなくて…”

タケシは胸を痛めました。
カオリにとっては、ただ、
友達としてメールし合っている
だけなのに、自分が
勝手に好きになって、
先走っているだけだという事を
十分、分かっていたのです。
しかし、そうは分かっていても、
タケシはカオリに、
直接会いたい気持ちで
いっぱいなのです。
 そんな思いで悩んでいると、
またメールが届きました。

“本当は、私も会いたい、
でも会ったら好きになってしまいそう、
それでは、私の役目は
失格になってしまうから…”

それを見たタケシの胸は
ドキドキと、高鳴っていました。
これが“恋”というものなのか…と。
何か返事を送らないと、
冷たくした事を誤って、
自分も好きな気持ちを
カオリに伝えないと、
そう思いパソコンに向かいました。

「でも、“私の役目”
って何の事だろう?」

疑問に思ったその時です。
紙ヒコーキが窓から飛んで来ました。
広げてみると、
一言書き添えてありました。

“さようなら”

タケシは、
膝を付き肩を下ろしました。

「何でっ、何でだよっ。」

気を取り戻し、思いの内を
メールに託し送りましたが、
いつまでたっても
返事は返ってきませんでした。