外嫌いのタケシも、
そのさわやかな外の風景に、
散歩にでも出たい気持ちに
かられました。
そして、その気持ちの中には、
カオリと一緒に、
という意味もありました。
それ程、カオリが
好きになっていたのです。

「カオリさん、出てこないな~。」

しかし、二人はこれまで、
幾度となく、
メールの交換をしていますが、
出会った時以来、
顔を合わせた事はありませんでした。
タケシは、会いたい気持ちが強くなり、
よく窓から顔を出すのですが、
カオリはそれに応えて
顔を出すような事は、
絶対にありませんでした。
タケシは、思いきって
切りだしました。

“メールをするのもいいけど、
俺、カオリさんに直接
会ってみたいです。
会えば、もっと
仲良くなれると思うんです。
メールだけの友達じゃ、
ちょっと寂しいよ…”

しかし、その答えは、
タケシの期待するもの
ではありませんでした。

“ごめんなさい、
私、容姿に自信がないし、
こうしてタケシ君と
メールしているだけで、
充分だから、会うのはまだ、ちょっと…”

タケシはイラ立ちました。
自分は、こんなに
カオリを好きになって、
会いたいと思っているのに、
なぜカオリは
会ってくれないのか…。
第一に、容姿が悪い
なんてのは嘘になる。
一目見た時、その綺麗な風貌に
惹かれたというのも正直なところ…。
それなのに会いたくない、
という事は、カオリはそれ程、
自分を好きではないのか…。
暇つぶしのメル友に過ぎないのか…。
そんな風に考える
ようになっていました。