「紙ヒコーキ?もしかして…。」

タケシはすぐさま、
外を見ました。向かいの
アパートの窓が開いています。
その部屋は、カオリが出て以来、
誰も入居していない筈です。
という事は…、そう思いながら、
紙ヒコーキを開くと、
やはりそれはカオリからの手紙でした。

“向かいの部屋、大家さんに
無理言って、ちょっと
入らせてもらっちゃった。
この紙ヒコーキの手紙が、
私達の連絡手段に
一番かと思って。”

タケシは腰を下ろし、
手紙をじっくり読み進めました。

“タケシ君、母が
失礼な事言ったみたいね、
ひどく落ち込んでいる
私を見てて教えてくれたの、
母もあんな事言って後悔してるって。
だから、またタケシ君と
楽しく付き合っていきたいの、
私はタケシ君の
病気なんか気にしない、
タケシ君が本当に好きだから”

タケシの手紙を持つ手は、
震えていました。
やがて、向かいの部屋の
カオリの元へも、
タケシからの紙ヒコーキが届きました。

“もう俺にかまわないで、
カオリさんは目が見えないから
俺と付き合っている
に過ぎない、お互い同情しながら
付き合っているようなもので、
これは本当の愛なんかじゃない。
そう気付いたら、
もう俺はカオリさんを
好きじゃなくなったよ、
カオリさんも早くそれに気付いて、
もう連絡も終わりにしよう。”

カオリは泣き崩れました。
もう本当に終わり
なんだと、納得せざるを
えませんでした。