今までも、HIVと知って、
タケシとの接触を
拒む者は多くいました。
タケシは、また世間の
冷たい風を浴びるしかないのです。

「分かって欲しいの、
あなたもカオリの事を思うのなら、
万が一感染してしまうって
事を考えて欲しいの…。」

マリコが言い終わる前に、
タケシは遮るように言いました。

「そうですね、分かりました。
カオリさんとはもう会いません。」

タケシは席を立つと、
そそくさとその場を去りました。