「父さん、それだけ
母さんを好きだったって事か…。」

「そう、でも妊娠する事を
考えていなかったのね。
あなたが生まれてくる事に、
酷く罪悪感を感じていたわよ。
ユウコも死ぬまで、
自分より、タケちゃんの事
心配してたわよ、
それに、コウイチさんは今でも、
一番にタケちゃんの事
気にかけてるわ。」

少し間を置き、
カズヨは問いました。

「分かってあげて、
お父さんの気持ち…。」

タケシは、しばらく黙り込み、
そのまま深くうなずきました。

「うん、分かった。」

そう言って、二階に上がって行きました。
タケシの父に対する思いは、
大きく変わっていました。