タケシは下を
向いたままで答えました。

「俺…、純粋なんかじゃないよ、
自分だけが病気を背負い、
人に嫌われ、次第に
人を憎んでばかり、
逃げてばかりの人生で…。」

「タケシ君、私は自分の目を
信じてる、
だからタケシ君から出ている
綺麗な黄色い風は、
本当に純粋な心の持ち主なの、
もっと前向きになれるように、
一緒にがんばろ。」

タケシは顔を上げました。

「カオリさん、ありがとう。」

「あっ、これからは、
カウンセラーの関係じゃなく、
一組の男女として、よろしくね。」

ニコッとするカオリに、
タケシも笑顔が出ました。

「あはっ、こちらこそ、
よろしくです。」

この後、タケシとカオリは
時間も忘れる程、会話が弾み、
気がつけば、二時間も
さゆり苑の周りを散歩していました。