「それでね、
今近づいて気が付いたんだけど、
タケシ君からも黄色に混ざって、
ほんのり赤い風が出ているの。」

そう言われ、
タケシは顔を赤らめました。

「そ、そうなんだ…。」

そんなタケシの
気持ちを察したのか、
カオリもほんのりと
顔を赤らめました。

「タケシ君、来てくれてありがとう。」

「あっ、俺の方こそ突然
来ちゃってごめんなさい。
どうしても、
もう一度会いたくて…。」

「でも、幻滅したでしょ?
私、こんな目の見えない体だって、
知って…。」

そう言われ、タケシは慌てて
下向きだった顔を上げました。

「そんな事っ、微塵も
思わないよっ。
それより、俺の方こそ
病気持ちだし…、
仕事もせず、
家に引きこもりっぱなしで…。」

タケシは、また顔が
下向きになってしまいました。

「HIVに感染してる事でしょ。
全部お父さんから
聞いて知ってるんだ、
変な言い方だけど、
そんな障害を背負っているからこそ、
タケシ君は人の痛みを
知ってあげられる、
純粋な心を持っていると思うの、
私はそんなタケシ君が好きなの。」