玄関のドアを開けたところでお隣さんに鉢合わせた。

一体何ヶ月ぶりだろう。

「佐々木さん、久しぶりですね」

「はい、本当にお久しぶりです!」

名前しか知らない赤の他人だけど、壁ひとつ隔てた隣で生活している人。
そのこともなんとなく不思議なのに、こんなに近くにいてまったく会うことがなかったのも不思議。

「今日は休みなんですか?」

「はい。近藤さんも?」

「そうです。佐々木さんはどこか行かれるんですか?」

自然とふたりでエレベータに向かいながら会話をした。

「ちょっと買い物に」

近所のスーパーの名前を告げると

「僕もですよ!」

そのまま、ふたりで並んでスーパーまで行くことになった。