貢さんに招かれて入って来たのは、スーツ姿の男性だった。

歳は…30代後半?
中肉中背で無精ヒゲ…目つきが鋭い。

何て言うか…カタギですか?って聞きたくなる様な。
見た目怖くて聞けないけど…誰?
デパートの従業員じゃないよね?

その人を見た主任の動きが止まった。

どうしたの?
こんな主任初めてだ!

「久しぶりだな、東」
男性は笑いながら、呆然とする主任の前に立つ。
「…更科(さらしな)先輩」

先輩?!主任のっ?!
この怖そうな人が?

明らかに暴力団関係にしか見えないんですが…。

それに何?

主任だけじゃなくて、家紋さんも貢さんも栗田さんも…何か緊迫した面持ちになってる。

更科先輩って言ったよね?
誰?何者?

「家紋さん、どちら様ですか?」
本を閉じ、主任と更科さん?を見守る家紋さんに耳打ちした。
だって気になるし!

家紋さんはうつむいてため息をついた。
軽くメガネを押し上げる。
…そんな深刻な人なんですか?
まさか脅しに来たんじゃ?!

いや、主任は脅されるタマじゃないか。

「彼は笙の先輩です。前の職場の」
「前の職場?」
「警察です」
「……警…?」

警察…。


警察?!