主任は虚ろな瞳を上げた。
ゆっくりと手をかざし、右側ドアを指す。

「あのドアを開けると…またドアがあってな…その桃色のドアを開くと…しずかちゃん宅のバスルームに…」
「行けないよ?!」
どんな幻覚見てんだよ!

けど話から察するに、右の部屋が主任の部屋なんだね。

主任の身体を支えつつドアを開ける。

「っきゃああっ!」

開けた途端、私は叫んで態勢を崩してしまった!

何かが顔に被ったんだよ!
倒れた私は、それを下から見上げる形に!

一体何なのよ!
これ…天井から下がる白い布?

…待って…布に包まれる様に白い足裏がチラチラ揺れて見えるんだけど…。

天井から下がる布…人の足…これって…これってまさか…?!

「てるてる坊主だ…」
「てるてる坊主?!」

私の上に被さる様に倒れた主任が、息も絶え絶えに呟いた。

この人型がてるてる坊主?!

「巨大な方が効果あるからな…デパートのマネキンで作った…」
「作るな!でかすぎる!窓から吊したりしてないよね?!通報されるよ?!」

首吊り死体かと思っちゃったじゃないの!
しかも頭!金髪外人マネキンの顔丸出しのまんま!

リアルすぎるし!坊主じゃないし!