｢吸って〜吐くのが深呼吸〜♪吸って〜吐くのが…♪｣
｢忠告堂々無視かよ？！｣

そんな事してると、そのうち深呼吸できない危篤状態に陥るぞ？！

｢主任？！｣
アルゴリズム体操を終えた主任は、そのままTVの前に倒れ込んだ。
ほら！だから言ったのに！
｢やった…やったよ…おじいちゃん…今行くから…｣
｢行くなよっ！｣
何が見えてんだ！

主任はうつぶせに転がったまま、肩で息をしている。
｢高熱なんですよ？理解してます？｣
倒れる主任の隣に屈み込み声をかける。
｢…これをやらないと…死んでも化けて出る事になるからな…｣

どこに化けて出るつもりなんだ？
ピタゴラスイッチのスタジオ？

立ち上がろうとする主任。手足が震えててなかなか起き上がれないらしい。
その姿に、私は生まれたての小鹿を連想して重ねたよ。

いい加減に寝ろ！

｢馬鹿ばかりやってないで寝て下さい！ほら、つかまって｣
主任の腕を掴んで引き上げる。自分の肩に回して、立ち上がる主任を支えた。
重いっ！

リビングから廊下に出る。
主任の部屋はどこ？
部屋のドアが三つもあるからわかんない！
つーか部屋数多いよ！何ＬＤＫ？！

｢どれが主任の部屋ですか？｣