そう言っても…実際主任に対して男性として見た危機感はない。

結婚結婚ってはうるさいけどね。

「そうでしょうかねぇ…」
家紋さんは、地図を書いている手を止めて私を見た。

「手負いの獣の檻に入ったからと言って、必ず喰われるとは限らないですよ」
「100%喰われるだろ?!」

何だよ!その例え!
安心させたいのか恐怖あおりたいのか、どちらかにしろよ!!

「大丈夫、笙は病気になると、医者じゃない人には甘え放題になるだけですから」
はい、と家紋さんに地図を手渡された。

ホントに行くの?私が?
ものすごく気が乗らない…。

「そんなに不安か?桜田」
地図を見る私の隣に立ち、昴さんが声をかけてきた。
またシーツ被ってるし。

「不安と言うか…」

できれば避けて通りたい難題だ。

「ならば、俺が東とコンタクトを取ってやろう」
「へ?」

コンタクト?

昴さんはこめかみに人差し指をあて、目を閉じた。
何やら呪文らしきものを唱えている。

そうだ!この人…魔界に通じる人だった!

「昴さんっ!大丈夫!いいです!」

コンタクトなんて取らないでぇっ!違う物が降りてくるから!
主任んちに行くよりそれこそ避けたい!