「まぁ…確かに医師である貢は適任でしょうが」
「ですよね?」
家紋さんもそう思うでしょ?
「ですが…笙の医者嫌いは筋金入りでして」

…主任が医師嫌い?

ちょっと待て…それって…弱点?

あ、やばい。思わずにやける私…。
そっかぁ、主任にも苦手なものがあったんだぁ。

「そうだよ…前に僕、そのせいでひどいめにあったんだから!」
絶対に行かないからねと、貢さんは膨れてつんと横を向いた。

「落とされたり底が抜けたり、飛んだり刺さったり…絶対嫌だから!」

…何か全然わかんないけど?

「だよな?俺が貢を助けに行った時は、伸ばして干す所だったし」
伸ばして干すっ…栗田さん?!
一体貢さんはどんな目に?!

「ちょっと待って!そんな危険人物の所に私が行くんですか?!」
「場所はですね…今、地図を書きますから」
「地図の前に問題があるでしょ?!地図を書く細やかさがあるなら、今の私の危機感を感じ取れますよね?!」

何考えてるのよ!
底が抜けて、飛んで刺さって伸ばして干すだよ?!

怖いっ!

その理解不能の言葉の指す所が怖いって!!


「みんな私が女だって事忘れてない?男一人の部屋に行けって言ってるんだよ?」