震える声を必死に抑えて、俺は静かに伝えた。

内心悲しみと、不甲斐なさにどうにかなりそうだった。

それでも、彼女は死なない。また会えるかもしれない。

それだけがオレの希望だった。

ただオレは羽ばたく。

オレにとっての未来に向けて。



背中の温かい温度をぎゅっと噛み締める。

もしも同じ種族だったなら。

なんて仮定過去系は必要ない。

もしも生まれ変わったら、なんて仮定未来もいらない。

オレは、“今”彼女と共にいたくて。

オレは、“今”彼女に生きていて欲しくて。

オレと彼女じゃ2つの願いは矛盾してしまうけれど、
それでも世界の何処かで繋がっている。

桜咲く彼女の季節と、紅葉香るオレの季節、

会うことが出来る。

恋しいと思っても、何処か物足りないと思っても、

キミを思えば乗り越えられる。




いや、

例えキミの隣にオレがいなくても、

キミが世界の何処かでオレの大好きな笑顔で微笑んでくれていればいい。

それがオレの一番の気持ちだった。

オレの微々たるワガママなんかより、

ずっとずっと大きな願いだった。














あぁ、この気持ちを、

世界は“愛”と呼ぶんだろう。