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オレは何処で間違えたんだろうか。
異変にもっと早く気がついていれば?
それとも、無理にでも理由を聞き出せば良かったのだろうか。
あの月の夜、一緒にいれば良かったのだろうか。
さっさと好きだとキモチを伝えれば良かったのか?
それで、一緒に暮らそうと、強気だけど弱い弱い彼女を抱きしめてあげれば良かったのか。
「どうしたんだよ!!!」
次の日、オレが見つけたときの彼女は、
真っ青な顔をして、痩せこけて、ガタガタと体を震わせ、
蹲(うずくま)るような体勢で倒れていた。
森の中にオレの焦りを含んだ声が響く。
オレは持ってきていた手土産のコスモスの花束を投げ捨て、
彼女に走りよって抱き起こした。
すごい熱だった。
「チッ、お前何やってんだ・・・ッ!!」
こんなときまで彼女を責めるのは間違ってる。
悪いのはオレだ。
気付かなかったオレだ。
昨日、あんなにも危険を感じていたじゃないか。
「とりあえず、うち行くか・・・」
とにかく、まずは体を温めなくてはいけないだろう。
抱き上げて立ち上がろうとすると、弱弱しく彼女の腕がオレを掴んだ。
「大丈夫・・・」
「大丈夫なわけねぇだろッ!!」
「ちが、そうじゃなくて・・・」
彼女はオレを見上げて、喋ることすら辛いだろうにそれでも必死に小さく笑った。
「もう、駄目なの・・・
だから、何もしなくても、大丈夫だよ・・・」
「駄目って、駄目ってなんだよ!意味わかんねぇよ!!」
だってちゃんと熱下げて、いっぱい物食って、それで家で暖かくしてりゃ治るだろ?
大げさなんだ、コイツは。
───そう、言い聞かせたかった。
目の前のコイツの言葉を信じているのに、信じたくなかった。
「だって、私・・・
私、ツバメだから。
この季節に、ここでは生きられないんだ・・・」
白鳥である、あなたとは違って。