30分ぐらい待っても高野さんは戻ってこず、山谷さんが探しに行ってくれた。そして彼女は席に戻ってきた。

「お疲れ様。今日はどうでしたか?ルール本を読むだけで退屈だったかもしれませんが明日にはパソコンを貸与しますので。」

「はい・・・」

「今日は帰ってもいいですよ。」

「あの、派遣会社のタイムシートに印下さい。」

「あ、そうね。」

印をもらって会社を出た後、千野さんから携帯に着信があったので折り返した。

「お疲れ様です。水沢です。」

「お疲れ様です。どうでしたか?続けられそうですか?」

「・・・。今日は何にも仕事してないんですけど・・・。ルール本を渡されてただ読んでただけで、仕事ふられないのは今の人員で足りてるってことじゃないですか?」

「いや、そんなことないですよ。1人辞めるので変わりに補充すると言ってましたし。」

「辞める人?そんな話は初耳です。」

「その人から引き継いでるんじゃないんですか?」

「私の指導係りは辞めなさそうですけど。」

「そうですけか。内緒なのかもしれないので今の話は黙っててください。とりあえずもう少し続けて見ましょう。」

「はい・・・」

疑問を残しつつ、とりあえず続けることにした。その日の夜、久しぶりに彼氏と食事した。私の1つ下のマナブはまだ学生で、社会のことは何も知らない。だからこんな悩みを相談しても何の解決にもならず、ただ愚痴を聞いてもらってストレス発散をするだけだった。