まさかこんな流れになるとは思わなかった。

「あっちのほうまで歩こっ!」

私はわざと答えなかった。そして吉田さんの手をひぱってベンチから立つと、インターコンチネンタルのほうまで歩き、海辺に並んで座ってイチャイチャした。まるで付き合いたてのカップルのようだった。その後、私を家まで送ってくれると言ってくれたが、かなり遠回りになってしまうし深夜0時を過ぎているので、今日は彼の家に一緒に帰って泊めてもらうことにした。律儀にもベッドを私に譲ってくれて、彼自身はソファーで寝た。


「ピンポーン」

「ピンポーン、ピンポーン・・・」

何度もなる呼び鈴に私は目が覚めた。時計は朝10時近かった。吉田さんは全く気づかず床で寝ている。

「吉田さん?誰か来てるみたいですよ。」

お酒が入らなくても寝起きが悪いのかあ、とあきれつつ、私は玄関のほうへと向かった。のぞき穴から外をみた。

「!」

女の子が立っていた。もしかして彼女??私は急いで部屋に戻り吉田さんをゆすり起こした。

「吉田さん、女の子が来てますけど、彼女じゃないですか?」

「え?」

「早く起きてくださいよー」

「無視しといてええで。」

「無視するもなにも、うるさくないんですか?」

すると今度は吉田さんの携帯が鳴り出した。テーブルの上にある吉田さんの携帯をとってあげて彼に渡した。彼は電話を見て嫌な顔をした。彼女からのようだった。携帯までも無視していると、さらに今度はドアを叩いたり蹴飛ばしたりする音が聞こえた。

「いるのはわかってんだよ、開けろ!」

彼女はかなり怒り口調でドアをガンガン蹴飛ばしていた。

「吉田さん・・早く出てあげないと近所迷惑かと・・・」

すると吉田さんも機嫌悪く起き上がった。

「あーっ、めんどくせえーな。」

これまでのやさしい吉田さんとは違う局面を見て少し戸惑った。

「ごめんね。ちょっと部屋で待ってて。」

そう言って彼は玄関の方へと行った。