翌日の昼に、吉田さんからこんなメールが届いた。

「おつかれさん。今日は定時上がり?一旦車取りに家に帰ろうとおもうんやけど、家で待っててもらえるかな?」

私は会社の近くでご飯でもいいと返事をしたが、吉田さんには明日は休みだし横浜のほうへご飯に行かないかと誘ってきた。車を取って私の家まで戻ってくるのは逆に遠回りなので、私は吉田さんの家に一緒についていくことにした。吉田さんの家は、新宿からローカル線で1時間くらいのところだった。

「悪いな、うち遠くて。」

「なんであやまるんですか。(笑)」

「駅からも遠いねん。」

「バスですか?」

「いや、チャリや。」

改札を出た後、駐輪場へと向かった。吉田さんがチャリを出してくると、私が持っていたカバンを自転車の前かごの中に入れてくれた。

「水沢さん、2人乗りできる?」

「えっ!私が前!?普通逆ですよね?それに自転車の後ろに荷台ついてないじゃないですか。」

「これもってんねん。」

吉田さんが手に持っていたのは、2人乗りで後ろの人が立つときに自転車へ装着する金具だった。

「ヤンキーみたいなことするんですね。(笑)」

「歩くと30分くらいかかんで?」

「じゃ、私後ろ乗ります!」

吉田さんの肩につかまって自転車の後ろに立ち2人乗りをした。なんだか高校生カップルのような気持ちになった。そういえば・・・吉田さんの彼女はまだ学生だという噂を聞いたような・・・ふと思い出した。

吉田さんの家について、家に上げてくれるのかな?と期待していたけれど、すぐに車に乗って横浜方面に向かった。さすがに今日ばかりは突然すぎてお店を予約してなくて、でも私が横浜に久しぶりに行きたいといつだったか言っていたのを覚えててくれた。館内でそこそこ有名なカレー店でさっとおなかを満たしたあと、山下公園で散歩をした。私が先にベンチに座ると、なぜか吉田さんは1つ隣りのベンチに座った。

「彼氏のことやけど、本当に別れてええねん?今ならより戻せるやろ?」

「いいんです。もともと好きで交際始めたわけでもないし。」

「好きじゃないのに付き合うんか?」