「みすず、好きな人できたの？」

うん、と言ったほうが彼のためなのだろうか？マナブのことが嫌になったなんて酷すぎる？とっさに考えた理由は嘘バレバレの内容だった。

「また芸能界に戻って仕事することにしたの。だから恋愛してる暇はない。」

そして彼の目を見ると、泣いていた。手で涙をぬぐっていた。私と別れたくないと言って泣いてくれる男を、私はここで捨てていつか後悔しないだろうか？今なら言ったことはまだ訂正できる。すごくすごく迷った。

「ごめんね、マナブ。付き合ってくれてありがとう。」

「やりたいことがあるなら仕方ないな。頑張ってな。」

結局私は彼に嘘をついたまま別れた。最低な女だ。そして私はすぐに吉田さんに連絡し別れたことを伝えた。

「大丈夫か？もしかして俺のせいか？」

吉田さんは自分が別れたほうがいいと提案してしまったことを少し悪く思っているようだった。

「そうじゃないんです。マナブのことは好きじゃなくなってたし・・・」

私が言葉をつまらせると、今日はもう遅いし私が疲れてるだろうからと、明日会社帰りにご飯に行くことを提案してくれたので、約束をして電話を切った。