「もちろんです!いっつもご馳走になっているので・・・たいしたお礼でもないですが。」

「いや、うれしーわー!」

吉田さんは子供みたいに体いっぱい喜びを表現してくれた。私もその姿を見てうれしくなり、気分よくなってお酒を一気に飲み干してしまった。その後も心地よくなってレストランの営業終了時間までアルコールを飲み続け、まっすぐ歩けないほどまですっかり酔ってしまった。

「そろそろ帰ろうか。」

「そうですね。」

テーブルチェックをすませてレストランを出ると、目の前にホテルの受付がある。そこで吉田さんが立ち止まった。

「水沢さん、お願い聞いてもらえる?」

「何ですか?」

「嫌なら嫌って言ってな。」

「はい。」

「もう少し一緒にいたいねんけどな。部屋とったらあかんか?」

「え?」

「変な意味はないで。ただ一緒にいたいだけや。このまま帰っても、水沢さんも家で一人でいるよりは安心やろ?」

「・・・」

「やっぱりだめか?」

「嫌じゃないですけど・・・なんか・・・こんな風に言われたことないからどう答えていいか。」

「嫌じゃないなら迷うことないわ。もちろん何もせえへん。こないだと同じや。そばにおるだけや。」

私は彼の要求に答えて一晩一緒にいることにした。けれどとき既に深夜。しかも金曜とあって部屋があいてなかった。

「ダブルベッドの部屋でしたらご案内できますが・・・」

「水沢さん、どうする?」

酔っ払っている私はその意味をあまり理解せずにOKと返事をしてしまった。部屋に入ってはじめてベッドが1つであることに気づいたが、動じないふりをした。

「お台場の部屋と違ってすごく狭いですね・・・」

「ごめんな、こんな部屋で。」

「なんで吉田さんが謝るんですか。」

一瞬気まずい空気にはなったけど、まずはアルコールを飲んでいない吉田さんに早く飲ませてあげようと、ルームサービスをお願いした。そうして部屋のみを開始してまもなく、吉田さんが酔いはじめるに連れて、私のほうはだんだん眠くなってきた。