「オレはええよ。水沢さんといるときは迷惑かけるから飲まないことにしてんねん。水沢さんは飲んでええよ。」

「私アルコール飲みたいわけでもないし、私が帰り運転しましょうか?」

「気にせんでええよ。ジュース飲みたかったらジュース頼んでもええよ。」

そう言って彼は私に気を使ってくれた。

食事中、私たちの会話はもっぱら私とマナブとのことだった。私がマナブが頼りないことやデリカシーにかけるなどの不満を口にすると、吉田さんも同調してくれて早くわかれたほうがいいと何度も強くおしてきた。かといって、吉田さんが私とどうこうという話は全く出てこない。気になった私は吉田さんにも彼女のことを聞いてみた。

「吉田さんは彼女とうまくいってるの?」

「いや、別れると思うわ。」

「どうして?」

「浮気しとんねん、あいつ。」

「え!?彼女が戻ってきてくれるなら、浮気されたのを許すの?」

「いや、そうじゃない。」

「もしかして彼女にたいしてのあてつけで、私とデートしてるんじゃないですかあ??」

「そんなわけないやろ!」

真剣に否定する吉田さんに驚き、こんなにいろいろしてくれているのに、失礼なことを言ってしまったかなと少し反省した。そのとき、私は電話のお礼も兼ねて、吉田さんが好きなバーバリーのハンカチをプレゼントしようと事前に用意していたのを思い出した。

「そうだ!吉田さんに渡したいものがあるんです。」

私はバッグの中からプレゼント用に包んだハンカチを取り出した。

「どうぞ。」

「何や?」

「プレゼントです。たいしたものではないですが・・・」

「え?マジ?」

急に頬を赤らめた吉田さんがかわいく見えた。

「開けてみてええ?」

「はい!」

彼は意外と丁寧に包装紙をはずした。

「わ!バーバリーのハンカチか!2枚もあるわ!」

「はい。同じ柄もしかして持ってます?」

「いや、もっとらんで。これもらってええんか?」