「わかったよ、じゃぁ今日は帰るよ。」

「何よ、それ。エッチしてもらえないと帰るの?私が1人でいるの怖いって伝えたよね?こないだの電話だって・・・本当は家につくまで電話しててほしかったのに!」

彼は黙った。

「もういい。帰って。マナブと一緒にいたくない。」

「ごめん。」

「帰って!」

私の怒りはおさまらず、彼には帰ってもらった。このとき、私はマナブと別れようと決心した。

週が明けて、あいかわらず吉田さんは私が帰る時間に電話をしてくれた。その中で何度か吉田さんが私に彼氏と別れたら?という話をしてきた。俺だったらしばらくは彼女んちとまるか、彼女を俺んちに泊めるなんて話をされ、私のマナブに対する嫌悪感が増すとともに、吉田さんへの高感度はあがる一方だった。そしてその週末の金曜日、再び吉田さんと会社帰りにご飯に行くことになった。

当日、定時で仕事を終わらせ、先にエレベータで下に下りて吉田さんが来るのを待っていた。

「ごめんな、遅くなって。」

「いえいえ。仕事忙しいのわかってますから。」

「ほな行こか。」

吉田さんは非常階段のほうへと歩いていった。

「今日も車で来てんねん。」

「えっ!」

「水沢さん、電車乗ったりするのいややろ?」

「私どんな風に見えてるんですか?電車くらい乗りますよ~。」

私たちはキャッキャッ笑って会話しながら地下駐車場へと降りて行った。

「今日はどこに行くんですか?」

「渋谷でええか?昨日ネット見てたんやけど、前日だとどこもいっぱいでな。」

「渋谷でぜんぜんいいですけど、逆に電車のほうがよかったんじゃ?」

「まあ、ええやないか。」

そうして私が連れて行かれたのは、渋谷マークシティのエクセル東急ホテル内のフレンチレストランだった。

「吉田さん、また高そうなレストラン予約されたんですね・・・居酒屋でもよかったのに。」

「そんな、水沢さんと食事するのに居酒屋なんて失礼なこと・・・」

吉田さんはおちゃめに笑いながらそう言った。そのとき私は気づいた。

「吉田さん、今日も飲めないじゃないですか?」