「っ…、…」


男の力が緩むのを感じた。


何故なのかは分からない。しかし…隙が出来たのだ。


次の瞬間、怪盗は死角から足を振り上げると男の顔を蹴り飛ばす。


「ぐ…っ…」


そして有らん限りの力で飛び起きると、扉から逃げようとし――しかし既に封鎖されていたため、近くの窓から外へと降り立った。






「はあっ…はぁ、ここまで来れば…」


しばらく全力でその場から逃げていたが、誰かが追いかけて来ることもなく。


それに安堵し足を止めたものの、大きな失態を犯してしまった自分に溜息を吐くのだった。