「くっ…!」


勢いよく引かれ、地面に叩きつけられる。


そのまま腕を捻り上げられ、その場から身動きが取れなくなってしまった。


「銀の怪盗、か。しかし所詮は女だな」


口角を持ち上げ見下ろされると、怪盗は観念したかのように抵抗を止める。


男はそれににやりと笑みを浮かべながら、しかし油断する様子は微塵もない。


「何故、戻ってきた?宝石はもう既に盗んであるのだろう?」


「……」


仮面の下にある、隙を窺うギラギラとした瞳にこの男は気付いているだろうか。