今宵も目的の物を手に入れた。


懐に紺碧の宝石をしまい込み、用心しながらその場を離れる。


輝かしい満月の位置で時間を確認すると、さほど経っていないことに気付く。


いつになくすんなりと終わらせることが出来たのだが、しかしそれが罠だということには始めから気付いていた。



「止まれ、怪盗」


一歩外へと出た瞬間、自分を取り囲む警官たち。


静かな夜の空気が、その沈黙の威嚇によって僅かに崩されていくのが分かる。


月明かりの下、銀色の滑らかな髪がさわりと揺れた。