一年が経ち、火槌が生徒会長としての任期を終える日が来た。


自分以外誰も居ない生徒会で、聖河は窓から外を眺め、深いため息をついていた。



「ようやく終わったな。長い一年だった……。」


「俺様にとっちゃ短かったけどな。」


聖河の背後から最も聞こえてほしくない声が聞こえてきた。



「空耳だな……。」


「無視すんなよ、相棒!どんだけ都合いい耳なんだよ、おまえの耳は。」


「………。」


聖河は仕方ないといった表情で振り返る。


振り返った彼の目に映ったのは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた火槌の姿だった。



「しけた面してんじゃねえよ、相棒。そんなんじゃ、女に逃げられるぜ?」


「……誰のせいだと思っている?」


「さあな。俺様には、さーっぱりわからないぜ。」


両腕を頭の後ろで組んで嘯く火槌。



「……何か用か?用が無いならば、今日ぐらい開放感に浸らせてくれ。」


そう冷めた表情で言って、火槌から顔を背ける聖河。

火槌は、あからさまに呆れたようにフウと息を吐いた。