部屋に来て私を見るなり彼は驚く。

『どうしたんや!』
隠せなかった。

でも言えなかった。

嘘すら言える余裕がないだけに
私が言えた言葉は
『別れてほしい』

別れという言葉に敏感な彼は嫌やばかり言う。

泣きながら頼む私。

引き下がらない彼。

きりがない。

恋愛に我慢させるわけにはいかない、それなら私が我慢しようと決めたんです。
治療にはお金がかかる。
迷惑だけじゃなくて心配もさせる。
なら私じゃなくていい。

体の症状でまともな考えができてない時に思ったことは、弱い決断のような気がした。

私の決断は意地の固まりで真実に近いようで遠かった。

私が彼から離れる気持ちなんてあるわけないと思った二十歳の私は、






甘かった。