「好きです……っ」 精一杯の勇気を振り絞って言ったその言葉を、黙って彼は聞いてくれた。 放課後の中庭には誰もいなくて、私の告白だけが空気に溶ける。 穏やかな夕陽に照らされた校舎に囲まれながら、私はただひたすらに彼の言葉を待った。 そして俯いた私に、優しいトーンの声が降り注ぐ。 「ごめん」 たった一言だけど、でもとても誠実なその言葉に、私は顔を上げて無理矢理に笑顔を作った。 藍川 結香(あいかわ ゆうか)、16歳。 たった今、振られました。