「いままでのこと、心より感謝しておる。いつ何時でもわらわの側で守ってくれた。辛いときは何も言わずに隣にいてくれた。
それが、どんなに心強いものだったか、そなたにはわかるか?」
千与は小さく微笑んで偽りの笑顔を浮かべた。
「由親、妻を大切にせねばならぬぞ?」
頑張って、涙を堪えようとしても、無惨にも頬に温い水が伝う。
「千与、」
「…エバ。それがわらわの名前じゃ」
「エバ、?」
「初めて神がお作りになった女子。その娘の名を、授かったのだ。」
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