『千与は私が守る!』

『千与、そなたを守るのはこの私だ。案ずるでないぞ。』

昔から、由親は口癖のようにそう言っていた。

「たわけ者…」

偽りだらけではないか。
千与を守るとそなたは言うてたではないか。

それなのに、何故妻を取る?

千与の頬にとめどなく伝う透明な涙。その涙のしょっぱさを、きっと彼女は一生忘れない。